2014/09/13

高い城の男

 ディック2冊目。第二次世界大戦の勝敗が逆転した世界で、もしこの戦争に米が買っていたら?という本をとりまく?人々の姿。
 ディックの本のレビューでちらほらと見るのが、「登場人物達がごく普通の人物で、普通の人間だからこその葛藤や苦悩が描かれている」というもの。個人的にすごい好きな設定。今の所電気羊とこれと流れよ話が涙の3つしかまだ読んでいないので他の作品はわかりませんが、高い城の男に関しては正に「超能力も超科学もない一般人が、葛藤しながらも前に進んでいく姿」がカッコよい。デッカードは社会的には一般人なのかもですが、なんせ超強いし。ジェイスン・タヴァナーは大スターだし。
 チルダンの様な立場の人間が日本人(本作品内ではよい地位に居ることがおおい)に斬り返した(言葉でですが)ところは震えたし、日本人の田上の苦悩と小さな抵抗、それにわけもわからないまま救われる未来を担うかもしれないフランク。ドンパチやオーバーテクノロジーで熱くさせるSFではないけれども、それでも十分静かに燃えた、気がした。

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